〜如何なる身分の人にても、如何なる華族士族にても、細に其身の経験を吟味せば、
生涯の中には必ず権力偏重の局に当て嘗て不満を抱きしことあるべければ、
其不平憤懣の実情は之を他人に求めずして自から其身に問わざる可らず。
近く余が身に覚へあることを以て一例を示さん。〜
『文明論之概略』岩波文庫p248には、「自国の独立を論ず」の章にあたる。
これをテキストにすると、この章に敢えて福沢自身の
「経験を反顧して発明することある可し」として、
自分をモデルとした「不平憤懣」は、「権力の偏重」がもたらす構造であり、
「自から問わざる可らず」と説いている。
自分