数年前、釧路から足を延ばして根室に行った。
一本道を単調に走ると、灰色の空と海が広がって終点。
緑が少なく、食堂と灯台の他は荒涼とした地の果て。
記念塔や希望の灯といった建物を拝し、海の彼方に目を凝らした。
うっすら島影が見えるようだが、幻のようだ。
視界に人影もなく、見捨てられた地に居ると感じた。
ウトロや羅臼より寂しい所だと、心寒く感じた。
釧路に帰って、スナックで「納沙布岬」を歌った。
胸に込み上げる想いで、途中で歌えなくなった。
李成愛の歌声が、望郷の念を呼び起こして切ない。
東日本大震災はじめ、自然災害で失ったふるさと
北方四島や福島原発
連載:故里の歌シリーズ