宇津保物語を読む



 蔵びらき 上 16


 頭中将は大宮達の料理を作って御前に並べ、五十日の祝いを受ける犬宮には、銀の折敷に同じく銀の高杯を据えて十二並べる。蓋つきの食器、御器は直径が三寸の沈の木をろくろ仕上げで作った物を、餅四折敷、果物四折敷、心葉(器の上に覆いとするもの)は清らかな物を被せた。

 大宮以外の親族達の御前は、浅香の折敷十二ずつを置いた。

 檜の破子全部で五十荷、全て、沈、蘇枋、紫檀を材質にしている。

 台、朸(おうご 物を荷(にな)う棒)、なども材質は同じ。袋や敷物の口をくくる緒なども清らかに作られてある。

 食器の中は皆食べ物である。