永いあいだの、私の古典への愛着を自由に思いつくままに、とりあげて語ってみたいと思いました。
古典への片思いともあこがれとも、秘めたる恋とでも申しましょうか。
今までの人生で私は一つまた一つと、大好きな古典作品を心の底に貯めていったのでした。
その秘めごとの露がいっぱい溜まって、ひとつの雫となり、ぽつんとしたたりおちました。
ここには私の好きなものばかりあつめました。
物語やその主人公や歌や文章など私の大好きなもの、そして無類に美しい宝玉のように、てのひらにじっと暖めて愛しんできたものばかりです。
それらをちりばめて作ったのがこの本です。
連載:老いのつぶやき