良く生きる(幸福)とは

(東大大学院教授・山本芳久「アリストテレス・ニコマコス倫理学」NHKブックス「100分de名著」’22年5月テキストより)

フランスの哲学者ピエール・アド(1922―2010)は、その著「生き方としての哲学」の中で、「古代の哲学(特にアリストテレスのニコマコス倫理学)には、(万人向けに)『人生を如何に生きるべきか』を教示している」と述べている。

アリストテレスの倫理学は、「幸福論的倫理学」とも呼ばれ、「人の行為や人生の究極的目的は幸福にある」として、その実現方法も詳述している。もっとも、その結果については、数学の回答のような「 1+1=2 という様に