連載:花万朶

花に酔う


その部屋は庭に突き出した10畳の部屋で、三方が上から下まで障子になっていた。その周りには廊下があった。

部屋の中央にはクイーンサイズのベッドが置かれている。
ピロー、クッション、ベッドカバーまでみんな真っ白。細かなキルティングが施された豪華なベッドカバーは光沢のあるシルクでできていた。

庭を愛でるための座敷を寝室にしたのよ、離婚して独り住まいだから、自分の好きなように部屋を使ってるのよね、と彼女は笑顔で言った。

障子を開けると、百日紅の花が枝垂れるように庭に降り注いでいた。鮮やかな紅色である。
細かなフリルのついた百日紅の花の塊は、微かな風に揺ら