連載:国立演芸場

神田伯山の『五貫裁き』

通常、寄席の定席は、途中で「中入り」と呼ばれる休憩があり、前半と後半に別れている。
人偏を付けて「仲入り」とも書くが、人が入るの意味があり、縁起を担いでのことらしい。
出演者は、先ずは、後半最後のトリと、前半最後の中入(中入前)を決める。
勿論、トリが格上なのは、言うまでもない。

例外もあり、真打昇進や襲名の披露公演などである。
ところが、国立演芸場10月上席は、講談の神田伯山がトリを務めている。
中入は、落語の三遊亭笑遊と、伯山の師匠である人間国宝の神田松鯉の交替だ。
披露公演ではないのに、師匠の後に弟子が高座へ上がるのは、極めて珍し