オニヤンマ緩く飛び交う萩樹間



 こぼれ萩風のうねりに身を委ね  宮田香

 丁寧にとる出し汁やこぼれ萩 櫻木道代

 ケーブル駅紅白の萩咲きそめし 阿部ひろし

 ひとすぢの風のささやき萩招く 鈴鹿仁

 大橋を渡りて離宮萩と月 西村雪園

 萩の花こゑ朗々と緋の僧衣  長憲一

 山門は茅葺きなりし萩の風  白数康弘

 平等院に千年の色こぼれ萩  佐用圭子

 紫の萩懐かしく幼き日  アロマ

 乱れ萩のみの賑はひ山湯宿  北尾章郎

 清楚なる白萩たわわ冠木門  中川すみ子

 一雫またひとしずく萩の雨  笹井康夫