初時雨描線斜めに暮れ泥む



 法隆寺までの一キロ藁塚の立つ  神蔵器

 藁塚の一つ一つに影伸びる  森田子月

 団栗や樹上の栗鼠と目の合へり 外山節子

 初しぐれ花見小路の丸ポスト 多方清子

 初時雨鎌倉に買ふ夫婦箸  當麻幸子

 初時雨あちらこちらの紅葉かな  アロマ

 陸橋に見送る列車初時雨  近藤真夫

 初しぐれ振り向く山に薄日さす  鎌倉喜久恵

 草はらのほのぼの黄なる初しぐれ  瀧春一

 日の匂ひ立たせて過ぎし初時雨 長山あや

 電車待つホームより見る初時雨 熊谷かよ子

 初時雨午後も遅くに冷え込