「民主主義の学校」を具現化『ボストン市庁舎』(フレデリック・ワイズマン監督4時間34分)

 2018年秋から翌年冬までのボストン市の行政を写したドキュメンタリー映画である。「地方自治は民主主義の教科書である」という言葉があるが、この言葉の意味が伝わってくる映画であった。映画の作り方は・・・、ドキュメンタリー映画としては・・・、例えばマイケル・ムーアのような確固たる意志を表明するやり方ではなく、淡々と市政の日常を描くスタイルをとっている。有る意味、それは退屈な画造りとなりがちではあるが、鏤められたエピソードは、それぞれに生身の人間の営みがあり、それが確実に市政に繋がる様子が描かれていて、これ以上の「臨場感」は無いと言って良いものになっている。