「命の水」
「これからは、私が家で面倒みます。介助方法を教えて下さい!」
リハビリの先生の前で、母がきっぱりと言い切った。
父が脳梗塞で入院して一年が過ぎ、今後の対応について、先生方と話し合っていた時のことだ。予想外の発言に、私と妹は呆然と母を見た。母の表情はキラキラとして、楽しそうにさえ見えた。
私は介護老人保健施設で働いている。要介護5の父を、母が自宅で介護するなんて無理だ。老人介護はそんなに甘くはない。
頑固な母が、私の意見など、聞くはずもなく老老介護が始まった。父90歳、母80歳。
仕事が休みの日は、私も実家に手伝