鮨屋に海老天載せて蕎麦啜る



 目の覚めるたびに富士見る旅の冬  稲畑汀子

 叔母を訪ふ花壇と紛ふ冬の庭 長村雄作

 十年後はこの世になしと決めて冬  堀内一郎

 泰山木広場にそびえ冬の駅  阿部ひろし

 灯台もベイブリッジも晴れて冬 西郷利子

 炉の灰におやきを埋め木曽の冬 江崎成則

 峽の冬機屋一軒音澄みて 関根初男

 冬景色眺める窓辺朱い実が  アロマ

 庭の径千両垣根高くあり  アロマ

 ホットカーペット方形の冬広ぐ 岡崎るり子

 瀬戸物の音して冬のなつかしき 星野早苗

 冬の朝葱刻む音水の音