薄紅葉硝子戸越しにお茶啜る



 段畑の真ん中乾く冬もみぢ  小澤克己

 坂あれば駈けあがる癖冬もみぢ 本河康子

 杉山に象嵌めける冬もみぢ  芝尚子

 冬もみぢ虚実は風の渦の中  伊藤希眸

 山の子に山羊はよき友冬もみぢ 西山美枝子

 冬もみぢ艶やか寺領に燃え盛る  アロマ

 冬もみぢ晩年すでに始るか    安住敦 

 自転車で駆け抜けるとき薄紅葉 朝倉晴美

 薄紅葉一枚浮いて露天風呂  二瓶洋子

 天空に近き湖畔の薄紅葉 八幡操

 触れてゆく風の言伝て薄紅葉 長山あや

 薄紅葉秋の訪れ時めいて  アロマ