私は、室生犀星のこの詩が好きだ。
ふるさとは遠きにありて思ふもの
そして悲しくうたふもの
よしや
うらぶれて異土の乞食(かたゐ)となるとても
帰るところにあるまじや
ひとり都のゆふぐれに
ふるさとおもひ涙ぐむ
そのこころもて
遠きみやこにかへらばや
遠きみやこにかへらばや
犀星の境遇に、自分を重ねていたのだろう。
私は、自分の生まれ故郷があまり好きではなかった。
荒っぽくて、デリカシーのない県民性、泥臭い田舎、高校を卒業すると、さっさと都会に出た。
しかし、異国はあまりにも巨大で、井の中の蛙はた