仁木悦子 の 「猫は知っていた」

★3.5 最初の江戸川乱歩賞受賞作品。

昭和30年代の夜のラジオ、猫の鳴き声で始まるそのドラマは怖かった。両親の聞くラジオに恐る恐る耳を傾けたという状態だったと思う。幼いながらに、最後のナイフのトリックを鮮明に覚えている。真犯人が誰だったのかは完全に忘れてしまっているのに・・。その小説の新装版が発売された。

雄太郎と悦子の素人探偵兄妹が殺人事件の謎解きをしていく物語。個人の開業医院が舞台だが、昭和の雰囲気を感じさせて懐かしい。信頼しきった兄妹のやりとりもいい。ペンネームそのものでの登場人物というのも珍しいが、仁木悦子という作家そのものの波乱万