早朝５時に枕元の携帯が鳴る。
「先程、
お母さんが亡くなりました」
弟からの訃報だ。
昭和四年生まれ、長寿だった。
大阪の旧家に産まれ、小学校教諭から薬剤師となり復員軍人で僧侶だった父と結ばれ、商売を始めて波乱万丈の人生を送ってきた。
実家を出たいばかりに警察予備隊に入り、公務員だった祖父に連れ戻されたらしい。
頭はよかったが、天真爛漫な人だった。
生前は何もしてあげられなかった。
親不孝な息子。許して下さい。

カテゴリ：日常・住まい