旧作エッセイ「S氏の場合」 CZ-0113 (後篇)

  ***旧作エッセイ「S氏の場合」(後篇)***


 順調に見えた新会社であったが、バブルがはじけると凋落は早かった。親会社の第一不動産も、ヘリコプター事業からさっさと手を引き、会社は解散した。
 景気の急激な後退で不動産業もピンチとなり、ヘリ事業どころではなくなったのだろう。

 Sはどう立ち回ったのか、朝日航洋出身の何人かと、トヨタ自動車グループの㈱ジャパン・フライング・サービスに入社していた。ここは主に小型飛行機を運航する事業会社で、ヘリコプター部門を最近になって併設している。

 トヨタ自動車は各事業所間の社内定期便として、乗