斎藤幸平『人新世の「資本論」』

 人新世とは、人間が地球環境にあまりに大きな影響を与えてしまったので、それまでの地質学的な年代と区別する必要があるとして提唱された概念である。地球の気候変動はすでに災害の激甚化という形で大きな被害を与えているが、このままでは人類の生存に深刻な影響を与えることが懸念され、国連でSDGsが採択されて大きな潮流になっていることは言うまでもない。ところが、著者はSDGsは大衆のアヘンであると刺激的な警告を発している。現代の消費生活にどっぷり浸かったままで、エコバッグを使う程度のプチ取組みでは現状の気候変動を止めることはできず、免罪符的な役割しか果たしていないと言