連載:花万朶

天知る地知る、、


寺院に創設された幼稚園に通っていた。

園長先生は和尚さん、いつも墨染の衣。
通園は徒歩。記憶の底にあるのは、菜の花に囲まれた細い道を母と歩いている風景。

一面の菜の花。菜の花以外、何も見えない。甘い香り、蜜蜂のブーンという微かな羽音。
母は乳母車を押していたから、妹が生まれていたのだろう。

幼稚園での記憶、、。

シッタルダがお釈迦さまになる絵本がいっぱいあった。白い象とインドのお姫様、、。繰り返し繰り返し読んだ。

キンダーブックという名の絵本。

おやつはいつもビスケット。文字の形をしていて、上には薄紅や水色の砂