十円玉もんじゃ

小さい頃、十円玉を握ってよく駄菓子屋へ通った。店の奥には長方形の大きな鉄板があり、ソースの匂いが鼻につく。子どもたちが肩を寄せ合い、もんじゃを焼いているのだ。

十円玉と交換に、駄菓子屋のおばさんがお椀をテーブルに置いてくれる。少量の小麦粉を水で溶かし、ソースで味をつけたものだ。微かに千切りキャベツが浮いている。十円玉をもう1枚払ってベビースターラーメンを入れるのが、子どもの頃の贅沢だった。

お椀を傾け鉄板に流し込むと、ジューと微かに音が響く。同時に両隣の子の陣地に流し込まないようにヘラで土手をつくる。微かに湯気が上がる。一文字を描くようにもん