定年間近のリホーム会社の社員が経験した話し。
東京で戦後に建てられた築70年余りの一軒家のリフォーム案件が舞い込んだ。
家主は70歳を過ぎた老夫婦で、将来息子夫婦と同居するためにバリアフリーに改築する内容だった。
見積もりを書いたら610万円だった。
大阪ならここから値切りが始まるのに、この家主は違った。
70年前に建てた家は親が建てたものだが、一切値切ることなく、「しっかりと建ててくれ」と注文した。
値切ると大工は手を抜くことを恐れたためで、昼飯も全部用意して、手を抜かれないように心がけた経緯を知っていたからだ。