題詠「春の草」 選者 吉川宏志さん
題詠のテーマは、その言葉に託して読み手の心を如何に詠めているかが肝要である。
一席
消えないですりこぎ棒に染みついた蓬の色も祖母がいた日も
(豊中市 葉村直さん)
すりこぎに染みついた蓬の色に、おばあちゃんへの思慕の念をたくしている。
二席
外は春ひとり観ている配信のブルース・リーは菜の花の色
(長岡市 三月とあさん)
菜の花色の春とひとり配信を見ている淋しい自分の対比が妙。ブルース・リーの衣装が黄色。
三席
在宅の仕事を終へてそとに出づ靴より低く生うる春草
(八王子市 土屋ひろ