塔短歌誌「塔」五月号
短歌誌「塔」五月号到着しました。今月は、十首詠草のうち六首を掲載掲載いただきました。選を頂いた梶原さい子さんありがとうございました。 ほの昏く常夜灯つく境内に五年ぶりなる旧友のかを くじ引けば待ち人の項嬉しかり「連絡もなく来る人がいる」 「うっちー」の名で逃れたる桐島の来し方思ふ、同齢なれば ゆつくりと尽きる温もり感じつつ「貼る用」剥がす午前四時ごろ 「行」の字を「様」に書き換へ今月も…
短歌誌「塔」五月号到着しました。今月は、十首詠草のうち六首を掲載掲載いただきました。選を頂いた梶原さい子さんありがとうございました。 ほの昏く常夜灯つく境内に五年ぶりなる旧友のかを くじ引けば待ち人の項嬉しかり「連絡もなく来る人がいる」 「うっちー」の名で逃れたる桐島の来し方思ふ、同齢なれば ゆつくりと尽きる温もり感じつつ「貼る用」剥がす午前四時ごろ 「行」の字を「様」に書き換へ今月も…
塔短歌会なら歌会でした、奈良市内は行基さんもびっくりの混雑でした。歌会は商店街の女性センターで静かに読み合わせしました、 小生の提出歌 題詠は「綿」 ひこもる子らの育てし綿の実を摘む手に棘の刺さりゐるなる ご指摘いただいた点 綿の実を摘む主体があいまい。もう少し作者とひきこもる子らの関係性が明らかになるといいのでは、…。 結句の「刺さりゐるなる」のいるなるの使い方が間違い?「ゐるなり」では、…
今週のテーマは「切る」早速入選歌を紹介します。 一席 もう切れぬところまで切る足の爪手で確かめてトゥシューズ履く 姫路市 玉響雷子さん ※バレーダンサーでしか詠えないリアリティがある。 二席 帝切の創口に汗疹できぬよう優しく洗う夏が過ぎゆく 札幌市 絹真結子さん ※帝王切開の傷あと、やさしく自分をいたわっている感情がよく表れている。 三席 御社とか慣れないことを書…
今日のテーマは年間テーマ「伝えられなかったこと」の中で「友だちのこと」でした。やさしいテーマであればこそ、切り取る視点の難しさを痛感しました。入選作9首を紹介します。 また、今日のゲストは映画監督の安藤桃子さん(サクラのお姉さん)とても愉快でした。 一席 中年の身を寄せあひてまた弾かむ〈ちさなすずめ〉六首連弾 松戸市 河野真南さん ※幼い頃からの友人でしょうか?また三人で連弾したい…
今月の入選歌を紹介。比喩は驚きが第一。 お題は「天」でした。 一席 不得手こそがんばる子だと褒められて寒天質のプールで泳ぐ メリーランド州 毛糸さん ※複雑な感情を独特な比喩で表現。 その他入選歌 沈黙を「天使が通る」という国の人の瞳を抜けてゆく風 さいたま市 丹羽祥子さん ※抜けてゆく風が秀逸 プロジェクト外れる前の吾のようなせり上がる尾の海老天を食む 静岡市…
今月のテーマは「夏の虫」表現力アップ講座「比喩の冒険」ということではじまりました。特選三席と入選歌を紹介します。 一席 裏山に陽射しも声も吸いとられヤンマの顎が指に食い込む 横浜市 森岡さやさん 二席 虫籠と網をしっかり握る手にもう手つなぎはいらぬと知る夏 世田谷区 藏石妃織さん 三席 父という樹を両腕で挟み込み吾子はクワガタみたいに眠る 渋谷区 ていもさん …
今月のテーマは伝えられなかった気持ち「怒っていたこと」でした。言いたくないことも短歌に載せれば言えてしまう。そんな歌が多くありました。 入選歌九首を紹介します。 一席 言わないでいる優しさを選んだ日あさりの味噌汁ひどくうるさい 千葉市 芍薬さん ※自分へのイライラ感がよく出ているような…。 二席 母にあるウェルニッケ野が火事になりまた兄の名でぼくは呼ばれる ふじみ野市 雨…
今日のテーマは「ガラス」、結句の妙を学びます。 入選6首を紹介します。 夏空がフロントガラスにへばりつく補助ブレーキを不意に踏まれて 上尾市 佐藤研哉さん 硝子戸をわたし全てで押し開ける目には見えないものほど重い 千葉市 小金森まきさん 未来から来ましたみたいな顔をしてレトロガラスの茶店に入る 川崎市 三浦直子さん 唐突にガラスの破片現れぬあの日の怒り閉じ込められ…
今週はグッとくる「見上げる」がテーマです。みんな何を見上げてぐっと来たかなぁ。 一席 地下鉄の階段を駆けて入道雲ずっとむかしに女子高生だった 名古屋市 岡田捺那さん ※階段を二段跳びして上がりゆく待ち合わせのなき北大路駅(梅内美香子さん)を連想させるはつらつとした歌です。 二席 「びわやな」と見上げる父を見るために車椅子木の下にとめおり 和泉市 星田美紀さん ※初句の入り…
「影」は心の動きをたくしやすい言葉ですね。 今日も、心にひびく歌がたくさんありました。 選者一押しの作品 信号の待ち人はみな街路樹の影の波打ち際に漂う 埼玉県 四ノ宮光里さん ※街路樹の影を波打ち際と感じる優れた感性 入選歌 太陽を横切って飛ぶ飛行機の影は確かに目の中にある 高知県 町田悠久さん ああ、夜は地球の影と気がついて今すぐ君に逢いたくなった 埼玉…
今週は「ゆらゆら」がテーマ、リズム感を出すことを学びました。 「ゆらゆら」何でもありそうで難しいテーマでした。 特選 遺された私の方がゆらゆらとあなたの煙になりそうだった 堺市 後藤啓輔さん ※せつない歌ですね、そういってくれる人がいて…。 二席 先輩のポニーテールのゆらゆらが譜面の外の全てと思う 奄美市 溝口のぞみさん ※吹奏楽部でしょうか?若若しい恋の歌? …
今週のテーマは、割と作りやすいテーマでした。入選歌は現役世代の歌が多かった。 入選歌を紹介しいます。 一席 抜き打ちの当番がきてシスターのように社訓を読み上げる朝 足立区 ひびの祈りさん ※朝礼の風景は小生と同じだが、ひねりが弱かった? 二席 15階富嶽快晴借景に部長がカラスを導き座る 大田区 掛口弘さん ※高層階のオフィスの風景が浮き上がってくる。調べもリズミカル。 …
今日のテーマは七夕にちなんで「願い」でした。 選者 寺井龍也さんの一押し作品。 母を乗せ舟を漕ぎたいあたたかな眠りの海に朝が来るまで 東京都 雪柳さん 入選歌 短冊に書いた願いは建前で造花の笹にほっとしている 京都府 宮田粍さん 七夕の願い毎年書くことが必ずあって叶わぬ恋よ 埼玉県 ファブリさん 結婚はしていて欲しい君の名を人差し指が探す夏の夜 三重県 早川和…
話題の歌集ですが漸く図書館で借りることができました。 「サーベルと燕」のタイトルですが、いつもタイトルの付け方を気にしているのですが。このタイトルも少し変わっていてなんだろう?という感じでした。 サーベルは、作者のおじいさんが日露戦役に出征する際に使ったもので、日本刀を改造したものだそうです。武家の出身というし出自を表明したものでしょう。仙台藩士だったのだろうか? 気になった歌 …
7月2日 放送のNHK短歌の入選歌を紹介します。今回のテーマは「海」。下の句と上の句の関係性に注目です。 特選 「あっ海」という顔をした上の子をルームミラーは静かに映す 和歌山市 中村マコトさん ※「上の子」という選択が妙 入選作 未来から来たのか過去へ来ているのかこのカーナビは海上を行く 佐野市 みくにさん ※こんなカーナビで運転してた。 一晩で眠りの海を泳ぎ…
6月18日放送、NHK短歌の入選作を紹介します。 テーマは「峠」です。 一席 アカシアの香る笹谷の峠へと蜂は光の直線を引く 大仙市 鈴木仁さん ※描写力の妙 二席 霧深きオロフレ峠の記念写真たしかに真ん中が私のはず 札幌市 後藤明美さん ※名称の勝ち 三席 今際(わ)なる母の元へと急ぎゆく峠を走る「豆太」になれず 岡山市 東真理子さん ※豆太を知っているかど…
むずかしいテーマを楽しく拝見しました。入選作を紹介します。 一席 悔いはないといい切る友が飲む紅茶レモンに匙を押しつけながら 西宮市 甲斐直子さん ※強がっている友を見つめる眼差しのやさしさ 二席 いつのまに失くしてる傘みずいろの時間をくるり畳んであった 横浜市 北入はるかさん ※憂鬱な日々をあかるく詠っている 三席 夢でだけ行ける商店街のことなんで話してしまった…