春宵に仄か辛夷の白滲む



 にはたづみ鞦韆雲の上にこぐ  島貫アキ子

 鞦韆やモノラルの音セピア色  赤座典子

 鞦韆や空押し上ぐるスニーカー  平木三恵子

 野焼して明日の若草待つ牧場 岩崎憲二

 若草に歩きそめたる子を下す 小山香月

 若草の香り立つかの野原にて  アロマ

 朝霧の晴れて若草食む羊 近藤きくえ

 若草や文学少女たりし日も  落合由季女

 「若草物語」の挿絵思い出す  アロマ

 若草や忍びてやはらかなる吐息  福永尚子

 若草やフォークソングを歌ひし日 西岡啓子

 若草やつぐみの走る国分寺