声を失くしても気持ちは伝わり、色が無くても空気は伝わる

素晴らしい青春映画を鑑賞しました。
時代は江戸末期、武家の身分でありながら貧乏長屋で暮らさざるを得なくなった父娘と、肥やしを売買して生計を立てる若者二人が主人公の『せかいのおきく』。
映像はモノクロ、画角もほぼ正方形という往年のサイレント映画を彷彿とさせるスタンダードサイズ。
だけどモノクロだからよかった、というよりモノクロじゃないと正視に耐えられなかった。なぜなら、強烈な香りが漂ってきそうな人糞が、常に画面のどこかに写っているような作品だったから。
物語は娘のおきくと糞尿屋中次の、身分を超えた恋の行方を中心に描かれます。22歳のおきくは喉を切ら