連載:古典芸能

三遊亭円丈師匠の思い出

通常、寄席の定席は、事前に演題を公表しない。
その日の客層により口演する噺を決めることや、先に高座へ上がった落語家と噺が重ならない様にする為と言われている。
噺に入る前のマクラを聴いていると、何を口演するか分かることもある。
新作落語は、名前の通り新しく作った噺だから分からないことが多いけど、昔から演じ続けられている古典落語は、可なり分かるようになった。

初めて行った池袋演芸場で、4月下席の江戸家猫八襲名披露興行を見た時のことである。
林家彦いち師匠が新作落語を口演したが、演題が分からなかったので、終演してから落語に造詣が深い同行者に訊いた