江戸入府

 安部龍太郎の「家康 (八) 明国征服計画」を読了した。著者は直木賞作家で、歴史・時代小説をテリトリーとしている。本書では、家康を臣従させた秀吉の北条征伐、家康の関東転封、朝鮮出兵等が描かれている。なお、本書は「家康」第四巻飛躍編の後半部である。
 天正十六年(1588年)四月、豊臣秀吉は十八歳の後陽成天皇の聚楽第への行幸を仰ぐ。天皇は聚楽第に参集した公家、諸大名に関白太政大臣である秀吉の言葉を勅令と心得る様にと話す。行幸が終わると、秀吉は家康に北条家の上洛の話をする。家康が駿府城に戻ると、工事中の天守閣がほぼ完成していた。家康は韮山城の北条氏規に遣い