暗い森に続く家

 カトリオナ・ウォードの「ニードレス通りの果ての家」を読了した。著者はイギリス在住の幻想文学者であり、アメリカ生まれであるが、家族とともに世界中を転々とし、オックスフォード大学を卒業した後は一時期アメリカに戻ったが、現在はイギリスに住んでいる様である。本書は著者の第三長編で、英国幻想文学大賞最優秀長篇賞(オーガスト・ダーレス賞)受賞作であり、少女誘拐犯と目された年齢不詳の男の心の中を描いたサイコ・ホラーである。なお、本書は主としてテッド・バナーマンと彼の飼い猫のオリヴィアおよびテッドを自分の妹を誘拐した犯人だと信じ込んでいるディー・ディーの二人と一匹の視