立花宗茂最後の活躍

 羽鳥好之の「尚、赫々たれ-立花宗茂残照-」を読了した。著者は編集者出身で、文藝春秋社で「オール讀物」誌編集長、文藝書籍部長、文藝局長などを歴任し、退社後に本書で作家デビューしている。本書は豊臣秀吉から「西国無双」と称えられ、関ケ原の合戦で西軍に与して改易されながらも只一人旧領に復帰した、立花宗茂の晩年を描いた歴史小説である。
 第一章「関ヶ原の闇」:寛永八年(1631年)初冬、六十五歳になっていた筑後柳川藩藩主の立花宗茂は、大樹と呼ばれる第三代将軍徳川家光に呼び出される。宗茂は関ケ原の合戦で西軍に参加したため改易されたが、徳川家康に取り立てられて嫡男