連載:講演を聴く

志賀直哉「暗夜行路」の姦通(古川裕佳都留文大教授の)

 今日は、志賀直哉「暗夜行路」の後半の話で、姦通についての主人公・時任謙作と、妻・直子の姦通を巡る話を聴いた。 
暗夜行路」は、完結するまで、17年かかった。 長篇が完成に長年月を要したのは、後編第4の部分ができるのに異常にてまどったからである、と言う。
 「暗夜行路」が完成し、文芸評論家の、小林秀雄、河上徹太郎は共に、「暗夜行路」を恋愛小説だと評した。 
 不義の子、出生の秘密を持って産まれてきた謙作は、それを乗り越え生きてきて、結婚し、妻の直子の彼女の従兄・要との姦通を知る。ー要と直子との間には二度とこう云う事はなかった。然しこの事は不思議に色