照り返し眩し晩夏の街角に



 又一つ旅を終へたる晩夏かな 稲畑汀子

 晩夏光湖しなはせて蜆掻く   陣野今日子

 街晩夏きらりきらりと回転扉 和田敏子

 札幌の晩夏の風の強き日に   稲畑汀子

 照り返し眩し晩夏の街角に  アロマ

 夕澄みの山も汀も晩夏なる   岡井省二

 貝殻を波残しゆく晩夏光 荒井書子

 碧味たる晩夏の風の色透けて  アロマ

 スリ硝子越しにやはらぐ晩夏光  丹生をだまき

 晩夏光桜古木のねばり腰 高橋将夫

 奥会津の屋根の鋭角晩夏光  緑川啓子

 東京の晩夏を喰べてゐる麟麟 湯浅夏以