老いぼれ旅 1

 遠い昔。言われたことがある。
「子のない者、心に神をもたない者は、不幸な人間だ」
 卒寿を目前にした私は、その一人である。が、自分が不幸な人間だなんて思ったことは一度もない。
 過日、助っ人の連れと三泊の旅に出た。
 第一夜は盛岡の「つなぎ♨」に泊った。暮れなずむ「御所湖」、その上に聳え立ち、若かった頃、登ったことのある「岩手山」を懐かしく見つめた。 
 夕食後、宿の催事「さんさ踊り」をも堪能した。
 老いても、旅はしてみるものである。

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