遠花火三つ見えたる屋上よ



   「アロマ」の句


 遠花火三つ見えたる屋上よ

 飛魚の刺身きらきら反射して

 帰省する娘の土産あご茶漬け

 朝からの暑熱に何時も茹るごと

 川沿いに入道雲がむくむくと

 吊るされて金魚鮮やか江戸風鈴
 
 琥珀色透けたネックレス夏服に

 かき氷白いふわふわミルク掛け

 うな重に肝吸い付けて山椒掛け 

 朱い塗椀鰻丼に木の芽載せ

 九州産鰻蒲焼ふっくらと


   「久保田万太郎」の句


 あまぐものまたたゆたひて麦の穂や

 絲をひくごとく星とぶ涼みかな