比嘉姉妹の母親

 澤村伊智の「さえづちの眼」を読了した。著者はホラー作家、ミステリー作家であり、「ぼぎわん」で2015年第22回日本ホラー小説大賞大賞を受賞し、同書を改題した「ぼぎわんが、来る」て作家デビューしている。本書は、同書に始まる「比嘉姉妹」シリーズの第七作であり、表題作を初めとする三篇を収録した中篇集である。
 「母と」:塩海琢海は貧しい家庭に生まれ、両親を嫌っていた。琢海は中学校にほとんど行かず、卒業後も原付を盗んだり偽ブランド品を売ったりし、振り込め詐欺の受け子をしていた時に補導されてしまう。釈放された琢海は母親の指示で、埼玉県の田舎にある、鎌田滋が主宰