連載:孫日記

「今日一番嬉しかった事」

「蝉の抜け殻ないかなぁ」
バアバはブランコから離れて、公園の端に向かう。木の幹を見上げてぐるりと一周。

弟クンはブランコから降りないものの、しっかり目で追っている。
「おっきく!」
「ハイハイ。行くよ」

弟クンの後ろに回り、腰の辺りを両手で掴み、グイッと持ち上げる。弟クンは大きく揺れる。

そうして抜け殻を探す行為をもう一度繰り返す。
「あっ、虫!1、2、3、4、5。5匹もいる!」
「何という虫ですかねぇ」
自転車でやって来た爺様がわざわざ自転車を停めて話し掛けて来た。私は孫を引きつけたいのに、爺様が釣れた。

「何でしょ