さんが書いた連載孫日記の日記一覧

会員以外にも公開

「揚羽蝶」

「アゲハチョウ!」 弟クンの声で目を上げると、高い処を揚羽蝶が飛んで行く。花壇の花には降りて来る気配がない。 娘の家の周りは地面か見えない程建物が建っているが、アゲハチョウがよく飛んで来る。弟クンはその度に「バアバ、つかまえて!」と言ったり、玄関前だと自分て網を取りに戻る。弟クンはアゲハチョウとシジミチョウがわかる。 「ピーピー」 弟クンよりは小さな幼子が言う。鳥の鳴き声だ。木の高い処にムク…

会員以外にも公開

「土曜日の朝」

「誰もいないね」 土曜日の朝、霧雨の降る公園に行く。 「探検ごっこしよっか。これは何だろ、不思議だなと思うのがあったら教えて」 「あっ、あれ!クレーン車みたいなのが沢山並んでる。何て言うんだろ」 駐車場を出て来た男性がすれ違いざまに何か言う。 「コウショサギョウ〜」 最初「高所作業車」だと分からなかった。 「1台2台〜、10台もある」 3歳児も続いて数える。 「ねえ、見て見て!浮いてる…

会員以外にも公開

「お兄ちゃんが元気だ」

「この前小学校に△△を迎えに行ったら、お兄ちゃんがいてね。凄く元気だったの」 「△△ちゃんも○○小学校なんですね」 △△ちゃんはお隣さんの孫だが、コロナの時看護師をしている娘さんは子供を祖父母宅に預けたから、私達もよく会っていた。 最近祖父母の住むこの街に東京から引っ越して来たと聞いていた。同居ではないが、お婆ちゃんの家には幼児を乗せる椅子が取り付けられた自転車が停まっている。 表に出ると…

会員以外にも公開

「マテ貝」

潮干狩りと言えばアサリと思っていたが、孫はマテ貝を獲りたいと言う。 私はそんな貝がある事すら知らなかったが、孫が繰り返し見るYou Tubeで知った。 海岸の砂浜に開いた穴に、たっぷりの塩を置くとひょっこり顔を出す。それを引っ張り上げると10センチくらいの棒のような貝が獲れる。 初夏のように暑かったし、干潮の時間も丁度いいので出掛けると娘が言う。 葛西臨海公園駅は既に人が一杯でゴールデン…

会員以外にも公開

「60代はまだ娘」

あの花壇の処に老婆が二人いて立ち話をしている。 「綺麗ですね。いつもここを通る時、楽しませてもらっています」 迷わず話し掛ける。私は娘の住む街に知り合いはおらず、同世代と話すのに飢えている。 年齢を聞いてみた。花壇の持ち主は92歳で、歩道側にいる老婆は83歳だと言う。 「あんたは幾つ?」 「69歳です」 「あれまぁ、まだ娘だよ」 「60代なんて娘、娘」 二人口を揃えて言う。92歳は言う、 …

会員以外にも公開

「お兄ちゃん学童保育を休む」

「バアバ、明日は11時15分に迎えに行ける?」 明朝お兄ちゃんの熱が下がっていたら学校には行くが学童保育は休ませると娘が言う。 娘は迎えに行く場所をスマホの衛星写真を拡大して説明する。バアバは既に下見済みだ。 幸い翌朝には熱が下がり、無事に登校となったが、いざバアバがお兄ちゃんと出掛けようとすると「バアバと行く!」と弟クン。 こんな事で泣かれては大変なので、弟クンはバアバ、お兄ちゃんはパ…

会員以外にも公開

「お兄ちゃんが発熱」

帰って来たお兄ちゃんに元気がなかったのは理由があった。学童保育で3年生と喧嘩したらしい。入学式の翌々日に! ママが話を聞きアドバイスもしているから、バアバは黙って見守る事にするが、お兄ちゃんの夕食が進まない。ソファーに寝転んだ。もしかして。 熱を測ると37℃以上ある。食欲もなくそのまま眠ってしまった。自然にママはお兄ちゃんに付きっきりに、私は弟くん担当になった。 弟クンを入浴させ、子供部屋…

会員以外にも公開

「桜は間に合ったが」

ガラス窓の外側にある網戸がすーっと動いた。横なぐりの雨がガラスに叩きつける。もう式は始まっただろうか。 こんな嵐の中を正装して出掛けるのか。傘など何の役にも立たない。ランドセルを背負った姿は一度見ていたが、体の小ささが際立つ気がした。 ますます雨と風は酷くなり、私は仕事しながら何度も何度も窓を見た。 娘宅に行く準備をして出勤したが、あまりにも雨風が酷く、行くのを止めようかと思った。が、こん…

会員以外にも公開

「反抗期」

行く手の電信柱の上の方にカラスがいる。 「大きいカラスがこっちを見てるよ」 「カラスめ、ボクがやっつけてやる!」 カラスは私達を目指しているかのように低空飛行して来た。自販機の上辺りに留まった。 「バアバは走って擦り抜けるよ」 お兄ちゃんはどうするだろう。ジッとカラスを見ている。なかなか来ない。来た。走る走る、全速力だ。バアバを追い越した。   「やっぱさぁ、カラスも人間と…

会員以外にも公開

「電気代」

3連休の最終日はママが出勤で、バアバとパパで子供達を見る事になっていた。大人が二人いても一日中子供達を見たらヘトヘトになる。前日は早目に寝た。 朝はお兄ちゃんと一緒にやろうと思っていたケチャマヨ体操を一人でやった。正月から朝一番にラジオ体操をしていたが、娘宅では出来ないので、子供達とやった体操で済ませる事にしたのだが、お兄ちゃんはゲーム機から目を上げなかった。 それからパパに言った。…

会員以外にも公開

「今年一番の寒さ」

「外は寒いよ」 また長袖一枚で出ようとしていたら、娘に止められた。 お兄ちゃんはお友達の家て開かれるクリスマスパーティに行き、弟クンは東京駅に新幹線を見に行く事になっていた。 ママがお兄ちゃんを送り届け、私は弟クンを連れて駅で合流だ。 外に出ると思わず「さむっ」と言ってしまった。高い建物の角を曲がる時には「頭が寒いね」と言うと、 「帽子!帽子取りに帰る!」 言い出した…

会員以外にも公開

「子供が見ている風景」

「お幸せね、こんな可愛いお孫さんがいて」 「ありがとうございます」 優先席は埋まっていたが、私達が乗り込むと一人が席を譲ってくれて、弟クンが座った。 また一人が譲ってくれてお兄ちゃんも座れた。私はドア近くから二人を見ていた。二人の前には娘がいる。 今度は優先席前が空いたので、孫達の前に移動した。そこで孫達の隣に座っていた女性に言われたのだ。 「さっきから二人で川や空が綺…

会員以外にも公開

「再会」

早目にお兄ちゃんを迎えに行く。行きたい場所はあるかと聞くと、○○神社と言う。 お兄ちゃんより大きな女の子が一段飛ばしで雲梯をしていた。お兄ちゃんは直ぐにはやらないで、周りで遊んでいた。 女の子が雲梯から離れた。お兄ちゃんが雲梯にぶら下がる。おお、軽々進む。一段飛ばしをした。一度だけ。まだ難しい。お兄ちゃんは自分で次々課題を見つけクリアーして行く。 気が済んだのか先に神社を出た。…

会員以外にも公開

「満月、三日月、半月」

4時すぎに会社を出た。空には既に月が出ている。半月だ。ハンゲツ。 ついこの間まで鋭い三日月だったのに、今はお腹を膨らませ、どことなく可笑しい。 弟クン(3歳)の口から出てくる言葉は特別だ。 昨日の昼間、弟クンが空を見上げて何か言った。 「○✕!」 「なぁに?」 「ツキ!」 「あっ、半月ね。よく見つけたね、あれは満月の半分、半月というの」 一度教えた言葉を夕…

会員以外にも公開

「バアバ、さっきはごめんね」

ファミマで写真を撮り、会社にいるパパに送った。今度は直ぐに返信はなかった。袋の絵が違うが名前が合っているので買った。 昨夜の事だ。お兄ちゃんに食べさせていたスイーツを「バアバもお味見」と言ってパパが持って来た。随分前に話題になったコンビニスイーツで、その時私が食べてみたいと言ったのをパパが買って来てくれて、そのまま冷凍庫に眠っていたのだ。 堅くて大して美味しくないので、どうせお兄…

会員以外にも公開

「地震てヤダね」

お兄ちゃんの保育園で避難訓練と引き取り訓練があった。 娘はラインで保育園からのお知らせを送って来た。時間も引き取る場所も当日知らせると言う徹底ぶり。 そりゃそうだ、災害が起きる時間なんて決まっていないし、子供達を一時避難させておく安全な場所も予定した場所が使えるかどうかなんて分からない。先ずは娘に連絡が行き、娘から私に連絡が来る事になっていた。 弟クンを保育園に送った後、掃除洗…

会員以外にも公開

「半袖からダウンへ」

寒い。ヒートテックの長袖の上に半袖のTシャツを着ているのに寒い。 「○○ちゃん、あと一回で帰ろ。ママが寒くなるとコンコン出るから早く帰ってって」 ブランコの3歳児に言う。保育園の帰りだ。 もちろんこんな事で帰ると言う訳がない。 「じゃ、あと3回ね」 幸い隣でブランコを漕いでいた女のコが帰ると言うので強制確保した。 嫌がらずに抱っこされた。暖かい。そのままゆっくり娘宅に…

会員以外にも公開

「おかえりなさい」

「△△ちゃんだ!」 公園には女のコとお父さんが回転遊具で遊んでいる。弟クンが大好きな女のコだ。 バアバも一緒に駆けて行く。弟クンが乗り、中央に座る。一回転だけすると女のコはもう遊び終わったらしく降りた。 今度は鉄棒に向かう。弟クンは女のコより高い鉄棒にぶら下がりたくて両手を上げる。バアバは抱っこで捕まらせる。両手は離さない。まだ無理だ。 「もう終わりにしよう。パパは会社に行く…

会員以外にも公開

「子供に返ると言うが」

「バアバ、ビューンて」 上のレーンをお寿司を載せた皿が走って行く。 嬉しくて仕方ないのだろう、弟クンは椅子から動かず、お寿司のレーンを見ている。 弟クンが生まれる時も生まれてからもコロナだったし、アレルギーもあり回転寿司に連れて来る事はなかった。 東京都が福島支援で水産物を割安にする。娘夫婦が出掛ける気になり、外食となった。皆が元気なのが一番嬉しい。ずっと誰かが体調を崩してい…