加害者の家族

 五十嵐律人の「魔女の原罪」を読了した。著者はミステリー作家であるが、司法修習生時代に「無辜の神様」で2020年第62回メフィスト賞を受賞し、同作を改題した「法廷遊戯」で作家デビューしており、現在は弁護士でもある。本書は、人工透析を受けた後に失踪した少女が、血を抜き取られた変死体で発見された事件を描いた、特殊設定のリーガルミステリーである。
 本書の主人公は、鏡沢ニュータウンに住む鏡沢高校二年生で文芸部の和泉宏哉である。宏哉は週に三回、クラスメイトで文芸部の水瀬杏梨と一緒に、父親の和泉淳の経営する透析クリニックで人工透析の治療を受けており、透析装置を操