秋めいて朝の味噌汁香しく



 震災忌谷中銀座のメンチカツ 野村昌代

 筒袖の己れ五歳や震災忌 松崎鉄之介

 里山に津波の碑あり震災忌  武政礼子

 銭湯にハーブ湯あふれ震災忌 磯海具子

 水澄みて盆地の町の暮れ早し 林田加杜子

 城下町めぐる堀川水澄めり  木村敦子

 笛の音の水澄むやうに夜半の秋  的池遙

 水澄んで泥鰌は泥の色のまま 大木茂

 灯の消えて山の厨房水澄めり 代田青鳥

 水澄んで心優しき時を得る  アロマ

 名にし負ふ四万十川の水澄めり  山本康夫

 神田上水澄みつつ流れゆたかなり 渡辺立男