犯罪を予見する

 古野まほろの「ロジカ・ドラマチカ」を読了した。著者はメフィスト賞出身の本格派のミステリー作家であるが、元東大卒の警察キャリアであり、警察大学校主任教授を最後に退官したという、異色の経歴の持ち主である。本書は、官房長官の孫娘と、彼女の家庭教師を依頼された警察署長の間で交わされる「論理的対局」を描いた異色のミステリーである。
 本書の主人公は吉祥寺警察署長司馬達警視正と、紅露寺官房長官の孫娘で十七歳の女子高生の紅露寺結子である。美少女の結子は学業成績も優秀であり、近々フランス留学が予定されている。そのために官房長官は、フランス大使館に赴任した経験のあるキ