新涼の心豊かに食事する



 透きとほる虫の楽章碇星 近藤真啓

 露天湯の一人に溢れカシオペア  伊藤稔代

 新涼や焼き上がり待つフランスパン  上村葉子

 新涼のチーズふつふつ焦げて来し 内藤静

 新涼や紙面に友の特選歌 善野行

 白ワインより新涼のコルク抜く 中野陽路

 新涼の冴えた空気に打ち震え  アロマ

 新涼や柾目を削る鉋屑 三好康子

 新涼の風を総身に佃島 尾野奈津子

 新涼や朝発ちの腹くうと鳴る 澤本三乗

 新涼の身の足裏より透く思ひ 村越化石

 新涼や花々すべて生き生きと  アロマ

 新