日本語は難しい。

「冷蔵庫にある豚肉、使わないでね。それ夕飯で使うから。」

「おー、わかった。何時に帰。」

「るんだ?」と言い終わる前にドアは無言のまま、バタンと閉じてしまった。

振り返ると、バツの悪そうな顔をしたワンコが、そそくさとリビングのソファーに帰っていく。

「自分の昼メシに豚肉なんて使うわけがないだろう。」と思いつつも、料理ができる自分を一瞬だけ想像してみる。腕まくりしながら「さあ、今日の昼はホイコーローか、それとも八宝菜にするかなぁ。」

「なんてなぁ。料理ができれば少しは時間を潰すことができるのに。」とぼやいてみるが、聞いているの