午後の日に紫苑揺らいで仄優し



    「アロマ」の句


 秋の旅山小屋風のホテルかな

 玻璃越しに紅葉麗し部屋にいて

 やや黄ばむ公孫樹の下にくつろいで

 三段峡山菜蕎麦の昼餉かな

 三段峡朱塗りの橋を渡りけり

 秋の夜半切子のグラスにワイン注ぐ

 赤まんま可愛く道辺に彩なして

 午後の日に紫苑揺らいで仄優し

 秋の街母と二人で抹茶買う

 蛍焼の碗と湯呑を購いし

 唐辛子の根付けは台湾土産


    「西島麦南」の句


 走馬燈ながるるごとく人老ゆる

 霧すさぶ月の簗瀬となりにけり