私の一冊 団鬼六「往きて還らず」、哀しくも切ない小説

団鬼六と言えば往年のピンク映画の脚本家である。刺激的なポスターの中に鬼六の名前が載っていた。官能小説の第一人者でもある。男性なら名前を聞くだけでもむずむずむらむらしてくるかもしれない。読みたくなって図書館へ行ってみた。そんなすけべオヤジの期待は木端微塵にくだかれた。普通に考えれば「闇の色事師 」「隠花夫人」「人妻嬲り」「新妻地獄」なんていうエロ小説が図書館にあるわけがなかろう。しかし1冊あったのが「往きて還らず」であった。知覧基地に特攻隊員として出撃を待っている隊員と妖艶な美女の話である。悲しくも切ない話になっており一気に読んでしまった。鬼六さんを見直し