連載:趣味

「白紙に描いてみた」

「黒は黒じゃないんですよ」
「えっ?!」

「ほら赤と青と黄色を混ぜると黒になるじゃないですか」

そう言って20代の同僚は、紙切れに色鉛筆て描き出した。水を付けた筆でなぞっても真っ黒にはならなかったが、24色しかない色鉛筆で無限の色が出せるということだ。

私はいつも辞めたがっているこの同僚と仕事以外の話が出来るだけで嬉しかった。

最初の色は薄く塗り、二色目も薄く塗り、水を付けた筆でなぞってみる。乾いてからまた色鉛筆を塗る。それを繰り返す。起きたら直ぐに、夜もテレビを点けて、始めてしまう。

塗り絵帳は18頁あり、半分の9頁描い