秋惜しむ通り漫ろに暮れ泥む



 秋惜しむ点りはじめし灯をかぞへ 小林奈穂

 秋惜しむ宇治十帖を読み返し 山下佳子

 秋惜しむ街は靄めき暮れ泥む  アロマ

 石焼の男鹿の魚食み秋惜しむ 福永みち子

 呟きは風との会話秋惜しむ   鈴木多枝子

 SLの記念運行秋惜しむ 石井美智子

 秋惜しみをれば町の灯ふえてきて 白石正躬

 秋惜しむ艶やか花咲く午後の庭  アロマ

 空の色風の色にも秋惜しむ  佐々木永子

 秋惜しむ通り漫ろに暮れ泥む  アロマ

 草原に寝転ぶ贅や秋惜む 松田和子

 秋惜むネオン透きゆく湯の煙 村