霧流れ夜の停車場メランコリー



 花うつぎ霧は海よりせまりくる  諸冨清子

 木々揺るゝことなく霧の揺れてをり  稲畑廣太郎

 霧仄か山の景色の靄めいて  アロマ

 霧消えて定刻に発つアナウンス  稲畑汀子

 火口湖の霧晴れ上がり遠郭公 神山テル

 霧とんでぱつとひろがるお花畑  三澤治子

 摩周湖の傍ら粒の霧感ず  アロマ

 霧隠り薬膳にのる菊膾 高松由利子

 霧襖ひらき一村現れぬ 宮崎裕子

 秩父湖の霧濃くなれり夕蜩  岡村葉子

 高千穂や霧に追はれて牛戻る 淵脇護

 昏昏と霧の谷より牛の声 土生逸磨