寒い朝の出来事

 それは霧雨の降る寒い朝の事だった、私は妻の悲壮な声で起こされた「パパ、悪いけどお願いがある」そう言うのだった、声の響きからとても良くない事だと分かったから「どうしたの」と尋ねると、「モッチーがいないから心配で探したら道路で死んでいるの、多分あの仔だと思う、だから連れて帰ってほしいの」後半はもう泣き声になっている。
 私は急いで着替えて道路に向かった、そこにはごみの様に散らばった白いものが散乱していた、何台もの車が通り過ぎたであろうか、薄い毛布の切れ端のようになった毛皮だけが幾つもに千切れて散らばっている。
 車の来ないのを見届けて妻と二人で急いでそ