ばぁちゃんのメリークリスマス

僕の街は過疎化が進んで、昼間でも人通りがほとんど無い。高校生の頃、両親を早くなくした僕は、叔父の家に従妹の七重と住むことになった。
午後四時、ある日の学校帰り。その途中、老人が十二月の水の張った田んぼで、亀がひっくり返ったように、手足をバタつかせ泥まみれになっていたのを見つけた。
「ばあちゃん。手を早く出しぃ」
 病院へ行く途中の道路は田んぼまで一メートルくらいの落差があり、そこに落ちてしまったのだ。
「こんなところで死にたくない」
 おばあちゃんは泥まみれの顔で、叫んでいた。私は泥のついた顔をジーッと目を凝らして見る。
「ツヤさんで