庭先に宿る思い出

今から60年近く前、昭和40年ごろの実家の庭先での話である。
年の瀬も押し迫った28日ごろは、1日かけてお餅つきをしていた。

今より外気温が低かった庭先は、12月の寒さで霜柱が立っている。
そこに足元がぬかるまない様に、表替えで要らなくなった畳表を敷いて臼を置く。
その脇に手水の桶台も落ち着かせ、
河原から拾ってきた石で組んだ焚火に、大きな釜をかけ薪をくべ、どんどんお湯を沸かす。

実家は石臼だった。つき上がりは早いが冷めるのも早く、
そのため、餅をつく前には、臼にお湯をはり臼を暖めて置かなければならない。

前日から、研いで水を