クラスで似顔絵描いて張り出され



 更衣イエローを自画像へ着せ  市川博久

 自画像に笑窪を残し卒業す  多治見照子

 自画像と言う詩を書く三十六歳  アロマ

 自画像のごとき羅漢や華鬘咲く  山口苔石

 自画像のその前にあり寒卵   加藤三七子

 愛らしい自画像の顔硝子越し   アロマ

 父を待つわたしのイコン夢彩色  下山田禮子

 曼荼羅に豆つぶほとけ雪明り  鍵和田釉子

 野につづく緑ゴッホの自画像より  山口誓子

 秋近き世のなりはひの似顔絵師  三橋鷹女

 冬木に凭る似顔絵描きよまた逢ひたし  友岡子郷